指圧・マッサージ 長生治療室

症例別の施術方針

肩こり・首こり

日本では多くの方が悩まされている症状です。筋肉の緊張が長時間続いて血流が悪くなると、痛みや重だるさといった、いわゆる“こり”の症状が発生すると言われています。原因はパソコンやスマートフォンの使用、長時間の姿勢の乱れなどが挙げられます。

肩こりや首こりはあん摩マッサージ指圧の施術と相性が良く、高い施術効果が期待できます。
しかし、前述の原因が存在し続ける以上は新たな“こり”が作られ続けますので、日々の生活で徐々に症状が戻っていくことが予想されます。原因を完全に取り除くためには仕事や学業をやめることが最も効果的ですが、それは現実的な話ではありません。
デスクワークや学業をされている方々にとって、肩こりや首こりと無縁の生活というのはなかなか難しく、だからこそ『現代病』と言われ多くの方々が苦しんでいる現状があります。

とはいえ「頻繁にマッサージに通うのも大変」という方も多いと思いますので、当院ではできる限り施術効果を長持ちさせることを重視して施術をしています。
主訴の部位はもちろん重点的に施術をおこないますが、その部位だけでなく全身を確認しながら施術し、肩や首に影響を及ぼしているであろう箇所も調整することで、楽になった状態を長続きさせるようにします。

なお、中には頸椎の異常や脳出血などの重大な病気が隠れていることもあります(過去に当院をご利用の方でもそのようなケースがありました)。初回の施術時や、初めて肩こりや首こりを主訴とされた方には特に詳しくお話を伺い、その際に疑わしいと判断した場合や、施術後も症状の緩和が見られない場合などは、病院の受診などをお勧めするようにしています。

慢性の腰痛

日本整形外科学会の調査では日本に3,000万人の腰痛持ちがいると推計されており、肩こりと並ぶ国民病となっています。

長時間の立位・座位、姿勢不良による筋疲労、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などが原因であることが多いとされています。また近年ではストレス性の腰痛(痛覚変調性疼痛)なども注目されるようになってきました。

多くの慢性腰痛に対して、あん摩マッサージ指圧は有効な手段の一つです。
慢性腰痛が起こるということは腰部に不必要な負担がかかっている可能性もありますので、腰部以外の箇所(股関節、膝関節、足関節、肩関節など)の動きなども確認し、「なぜ腰に負担が行くのか」を考えながら施術していきます。よって主訴以外の箇所も施術することになると思いますのであらかじめご了承ください。

※『ぎっくり腰』は慢性腰痛とは異なり、腰椎捻挫などの外傷(=ケガ)に起因するものとなります。慢性腰痛と同じ施術をすると悪化することが多いため、施術方法が大きく異なります。詳しくは【寝違い・ぎっくり腰】の欄をご参照ください。

頭痛

あん摩マッサージ指圧の適応となる頭痛は、主に『緊張性頭痛』と『片頭痛』の二つです。
それ以外の頭痛(群発性頭痛、脳疾患による頭痛など)は適応外となりますのでご注意ください。

緊張性頭痛は、締め付けられるような痛みや、重だるさを感じるタイプの頭痛です。
肩や首のこりが原因であることが多いとされていますので、当院では施術でこりを解消させることでの症状緩和を目指します。多くのケースで施術後は来院前よりも楽になるようです。

片頭痛は、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが生じるタイプの頭痛です。
原因は完全には解明されていないようですが、ストレスや自律神経の作用により脳の血管が急激に拡張することで引き起こされると考えられています。
当院ではストレスを和らげることや自律神経を安定させることを重視し、緊張性頭痛とは異なる施術をしていきます。

膝痛(変形性膝関節症)

膝の関節軟骨がすり減ることで起こる変形性膝関節症の場合、少々乱暴な言い方ではありますが、手術や再生医療以外の手段では『治らない』という表現が正しいです。
関節軟骨は血管もリンパ管も神経も通っておらず、修復能力がきわめて低い組織です。それゆえに関節のクッションとして機能するのですが、消耗品に近い性質を持っており、減ると基本的には戻りません。

マッサージや整体の店では治しますと表記しているところもあるかもしれませんが、揉んだところで減った軟骨は戻りませんし、戻っていない以上は治したという言い方は不正確です。
実際に東洋医学系の施術を受けると痛みが和らぐことが多いのは事実ながら、それは痛みだけ緩和された状態であり、完治ではないということに注意が必要です。

QOL(生活の質)は痛みが緩和されただけでも向上しますので、当院では手術を避けたいという方のために(言い方は悪いですが)だましだまし膝を使える状態にするという方針で、痛みの緩和を目指した施術をおこなっています。

スポーツ障害・筋肉痛

スポーツ障害は『予防すること』が非常に大切です。
世の中のスポーツ選手の方々をご覧いただければおわかりになりますとおり、ケガを起こしてしまうと後が非常に大変で、場合によっては選手人生がずっとケガとのお付き合いになってしまうことになります。起きてから治すことを考えるのではなく、『起こさないこと』および『再発させないこと』が重要になってきます。

あん摩マッサージ指圧は外傷を直接治すことには適していませんが、予防することにおいてはきわめて有効です。
当院ではスポーツ選手(プロ・アマ)の方々にもご利用いただいており、筋肉の柔軟性や関節の可動域に注目し、ケガをしにくい体を作っていくことを目指した施術をおこなっています。

また、筋肉痛のケアにつきましては、近年の論文にてマッサージや軽い運動が非常に効果的という報告がなされています。
ただし強い指圧などは不適ですので、当院では運動後のケアとしてご利用いただいた場合は『筋肉を傷めないように、かつ血行を促進させる』ことを第一に考えた施術をおこなっています。
なお、該当の論文においては静的ストレッチに筋肉痛を緩和する効果がほとんどなかったことなども報告されています。運動をやられている方は今後も最新の情報に注意するようにしてください。

寝違い・ぎっくり腰

一般的に、通常の寝違いやぎっくり腰はまず安静が必要であり、2~3日間で痛みが緩和してくると言われています。
会社員のかたでその2~3日間の安静が難しいという場合は、コルセットで可動を制限してしまうことがよいと思います。市販の消炎鎮痛剤を服用することも効果的です。

当院は階段をのぼらないとたどり着けないということもあり、立つこともつらい寝違いやぎっくり腰については、発症直後ではなく、痛みがある程度収まってからの来院を勧めています。
また、予防や再発が非常に重要であるため、そのための来院も推奨しています。

なお、転倒など明らかな事故で起きたものについては骨折などの可能性がありますので、その場合はまず病院の受診もしくは問い合わせが必要です。

疲労回復・不調はないが予防のため

ときどき「ただの疲労回復目的でも施術を受けてよいですか?」「どこも悪くないのですが受けてよいのでしょうか?」という問い合わせをいただきますが、むしろその状態において予防目的で施術を受けることは重要であり、ぜひ受けにきていただきたいと当院では考えています。

東洋医学では『未病治』(みびょうち)という考え方があります。
これは、はっきりとした病気になってしまう前に手を打ち、心身ともに健やかな状態を維持するというものです。予防医学が注目されるようになっている現代においても非常に大切な考え方であり、皆さんにもぜひ実践していただきたいと思います。